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肝がん治療について

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肝がん治療で行われている
WOWエマルションを用いた肝がん治療

■ 肝臓に発生する悪性腫瘍

肝細胞がん → 肝細胞由来・肝炎ウイルスの長期罹患により発生

胆管細胞がん → 胆管細胞由来

転移性肝がん → 肝以外の臓器に発生したがん由来

これらを総称して肝がん(広義)と呼ぶこともありますが、日本人に最も多く発生するのが肝細胞がんですので、これを肝がん(狭義)と呼ぶ場合が多いようです。

ここでも肝細胞がんを肝がんと呼ぶことにします。

■ 肝がんの治療

■ 肝切除術

■ ラジオ波やマイクロ波による凝固壊死療法

■ 肝動注療法

治療法は、肝臓の機能、がんの個数、がんの大きさをもとに決定されます。最も治療効果が高いのは肝切除術ですが、肝臓の機能が悪かったり、がんが肝臓全体にひろがっていれば実施は困難です。結果的に約8割の患者さんは手術が行えないことになります。

手術が行えない場合は、ラジオ波などによる発熱作用でがんを処理する治療が行われますが、がんのすぐそばに大きな血管があったり、がんの個数が多い場合はやはり治療が困難になります。

結局残りの患者さんのほとんどが肝動注療法のお世話になることになります。

■ 肝動注療法

■ ワンショット 肝動注

■ リザーバーを使用した持続肝動注

◉ Transcatheter arterial embolization 肝動脈塞栓術(TAE)

腫瘍に行く血流を止めて,腫瘍の壊死をねらう

腫瘍の破裂以外はあまりおこなわれない

◉ Transcatheter arterial chemoembolization 肝動脈化学塞栓術(TACE)

抗がん剤をしみ込ませたゼラチンスポンジを塞栓物質とする

腫瘍の血流を止める意味よりも,化学療法という意味が強い

TACEの塞栓物質は以前はもっぱらゼラチンスポンジでしたが、最近はリピオドールを使用する場合が多くなっています。リピオドールはケシ油から採取した脂肪酸エステルをヨウ素化したもので、油性の造影剤としてリンパ管造影や子宮卵管造影に広く使われていました。

その後、リピオドールを肝動脈から肝臓に注入すると肝がん組織に数週間にわたって選択的に沈着することが発見されました。

リピオドールと水溶性抗がん剤を混合して注入する治療が一般的に行われるようになりました。

リピオドール.jpg

ここで問題が起こります。リピオドールは油です。抗癌剤の水溶液は水です。水と油は混ざりません。そのため、リピオドール油滴中に抗癌剤が存在していなかったり、水相と油相が容易に分離するなどの問題点があり、動注用製剤として承認されるレベルに達していませんでした。

この問題を解決するために考え出されたのがWOWエマルションです。

水と均一に混ざらない様子.jpg

■ WOWエマルションの開発

宮崎医科大学の東および宮崎県工業技術センターの中島らの研究グループは、リピオドールの油滴中に塩酸エピルビシン(抗癌剤)の水溶液を液滴の形で封入した製剤を開発し、1993年にCancerというアメリカの雑誌に発表しました。この製剤はのちにWOWエマルションと呼ばれるようになります。

これが宮崎で開発されたWOWエマルションの拡大写真です。直径70ミクロンのリピオドール油滴の中に抗癌剤の水溶液の小胞(黒く見える)がぎっしり封入されているのがわかります。

WOWエマルション

WOWエマルションを肝動脈内に投与する臨床治験は約10年間にわたって1000回以上行われ、さまざまな特徴がわかってきました。

① 粒子の大きさが揃っているため、少量のWOWエマルションでも広い範囲に均一に流入すること。

② WOWエマルションは正常の肝組織からは3日くらいで消滅しますが、がん組織には数週間~数カ月にわたって沈着し抗腫瘍効果を示し、正常組織から速やかに流出するため、がん以外の組織の障害が少ない。

③ TACEの後に出現することがある胃潰瘍や胆のう炎などの頻度がきわめて低いこと。抗癌剤に由来する白血球減少や脱毛などの副作用がみられないこと。

<WOWエマルションを使用したTACE850シリーズでみられた副作用>

肝がん治療センター.png

④ 油滴の粒の大きさが適正なサイズに調整してあるため腫瘍内への取り込みが容易に起こる。詳しく観察すると、油滴はすべてがん細胞の中に存在している。

肝がんの細胞の中に赤く染まったWOW粒子が見える。青く染まっているのは核。抗癌剤を含んだ人工的な粒子を細胞の中に送り込むことが可能な究極のDDSである。

肝がん細胞(核を2個有する)の中に2個のWOW粒子がみられる。粒子の中に泡状にみられるのは、抗癌剤の水溶液が入っていた小胞。

■ 結論

このようにWOWエマルションは、世界中ですでに広くおこなわれている現行のTACEの効果や安全性を高めます。また、血管内皮(うちばり)を痛めませんから、10年以上にわたって何度も治療を行うことが可能です。

肝がんの最も重要な特徴は多発することです。数千個のがん病巣が突然あらわれる場合もあります。このようなケースでは、肝臓全体に何度でも注入できるWOWエマルションでなければ対応できません。

治療を希望なさるかたはメディカルシティ肝がん治療センターを受診してください。がんの数が1個でも数千個でもかまいません。

また巨大な肝がんで、切除不可能と判断された場合もご相談ください。総合的な診察ののち、もっとも適切な治療法の組み合わせを提案いたします。

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